にほんブログ村 小説ブログへ 忍者ブログ
妄想を文書化してしまう末期症状ログです。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「結婚ですか?」
「そう、来月の頭に」
 会社の先輩が休憩時間にそう言った。
「結婚適齢期ってやつですかね?」
 ぼんやりと、そんなことを尋ねてみる。
「適齢期かぁ」
「社会人四年目になると、なんか周りが急に結婚って慌しくなる気がするんです。大学のときの友達とか、職場とかでも。そういうの見ているとなんか、結婚しないといけないのかなぁとか、つい考えてしまうんですよね」
「確かに、なんか「しないといけない」っていう感覚もたしかにあるんだよね・・・・・・」
 先輩は缶コーヒーを傾けながら、少し遠くを見る目だった。
「結婚って、どんな感じですか?」
「そうだね・・・・・・なんか不安だよ」
「不安ですか?」
「金がない、って苦労している同期のヤツとかいっぱい見てきたからね。うちの会社の給料で家族を養っていくとか、そう考えるとブルーになるよ」
「一人暮らしには分からないですね」
「そうだね、一人暮らしはいいよ。お金に困ることがない。湯水とまではいかなくとも稼いだお金全てを自分の為に使えるからね。独身貴族とはよく言ったものだよ」
「羨ましいですか?」
「羨ましいね」
 そう言って僕と先輩は笑いあった。
「僕には今まで以上に先輩が立派に見えますよ」
「そうかい? 自分じゃ良く分からないな」
「尊敬しますよ」
「どこが尊敬できるのかよくわからないけど照れるね」
「結婚、しなくちゃいけないのかなぁ・・・・・・」
 ぽつりと呟く。
「いや、結婚なんてするもんじゃないよ」
 先輩は笑う。
「・・・・・・」
「どうしたんだい?」
「結婚した人って、みんなそう言いますよね」
「うーん・・・・・・、そうかもしれない」
「しなくちゃいけない、ってどうして思ってしまうんでしょうね」
「確かにね」
「親も、先輩も、同期も、後輩も、友達も、口にはしないけど、そうしなければいけないって、まるで強迫観念みたいです」
 世の中には、しなければならないレールが引かれている。
 時々そう思う。
「大学に行かなければならない、就職しなければならない、結婚しなければならない・・・・・・」
 レールの上の人生。
「世の中は、しなくちゃいけないことだらけです」
「どうして、かぁ・・・・・・理由なんて考えたこともなかった。そろそろかって、どちらともなく、でも、僕も彼女も結婚して当たり前って意識があったんだろうね」
「日本のスタンダードです」
 そして、レールを脱線すれば、人生の落伍者。
「結婚して、本人は不安なのに、周りはおめでとうと言う。確かに複雑な気分かもしれない」
「何が芽出度いと思います?」
「恋人のゴールは結婚にあるから?」
「じゃあ、その先に道はないですね」
「ゴールしちゃったからなぁ・・・・・・」
PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新コメント
[12/16 o-isu]
[05/08 o-isu]
最新記事
プロフィール
HN:
o-isu
年齢:
41
性別:
男性
誕生日:
1983/02/18
職業:
妄想業
趣味:
深夜徘徊
自己紹介:
2008年になりました。
今年も細々と脳内の妄想を発散してまいります。

ご意見など以下のアドレスにメール願います。
oishi3128@hotmail.co.jp

アクセス解析
カウンター
忍者ブログ [PR]